「PRESIDENT Online」編集者が語る!メディアに取り上げられる方法 | イベントレポート

2020.12.07 広報ノウハウ

メディチョクが月に1回開催している「メディアセミナー」。今回のテーマは、「メディアに取り上げられる方法」です。PRESIDENT Onlineの編集者兼ライターの内藤慧様をゲストに迎え、メディア側から見たメディアに取り上げてもらう方法をお聞きしました。

ゲストの紹介

広報活動の指標の1つとして、「メディアに取り上げられる」ということを目標にしている経営者や広報担当者は多いのではないでしょうか。しかし、目標を立てたのはいいものの、どうすればメディアに取り上げられるのかという問題に頭を抱えていませんか?

そこで今回は、PRESIDENT Onlineの現役編集者である内藤慧様(以下:敬称略)をお招きして、メディア側からみたメディアに取り上げられる方法をお聞きしました。メディア露出がなかなかできないとお困りの経営者・広報担当者の方必見です!

記事の内容は企画段階で50%決まっている!?

どのメディアでも同じなのですが、記事が掲載されるまで5つの段階に別れています。一番最初は企画から始めるのですが、実はもうここで記事の50%が完成するといっても過言ではありません。

企画の提案には、編集者がこういう記事を作りたいと思って提案する発案パターンと、担当しているジャーナリストから企画を持ち込むパターンの2種類があります。例えば、私の場合だと海外に何人かジャーナリストの知り合いがいるのですが、その方々が現地を取材して得た情報を送ってくれたりします。もうこの段階で記事の50%が決まっています。

構成が固まったら実際に取材に行きます。ここでは編集者とライターが一緒に取材をします。大体ここで80%完成します。そのあとの執筆は最終作業になるので、ここはライターさんに書いていただきます。「編集、校正」でファクトチェックや誤字脱字の校閲を行い、タイトルを決めます。最後に入稿するタイミングで、商品やインタビューの写真を入れて掲載という流れになります。なので5段階のうち3段階は記者がやって、残りの2段階は編集者がやるようなイメージです。

司会:企画の段階で50%決まっているということは、企画を練るまでにいろんなところから情報を取ってきて企画を考えているということですか?

おっしゃる通りですね。どのメディアでも、編集会議といって毎週1回はネタだしというものを行なっています。編集会議とは、各編集者が何本かネタを持ち寄って、もう記事化する方向で編集長にお伺いを立てる会のことです。この企画会議の段階では、もう取材先が決まっている場合が多いです。

マスメディアとネットメディアは取り上げ方が違う!

基本的に私達メディアは、企業からのリリースはメールでいただくことが多いんですけど、報道機関だとファックスでいただくことも結構あります。私が以前、北海道で新聞記者をしていたときでも、1日50件くらいファックスで来ていました。

報道機関はメールアドレスを開示していないので、しょうがないところはあるのですが、そうなるとなかなかリリースを全て拝見することは難しい。なので今回はマスメディアとネットメディアの違いを説明しつつ、私たちが読みたくなるようなリリースの件名や中身を説明できればと思います。

例えば、「巣ごもり消費で、家飲み用のレモンサワーの割り材がすごく売れている」という情報を記事化するとします。同じタイトルを記事化するにしても、私たちとマスメディアでは出発点が違います。マスマディアが出すとなると、「外出自粛で家飲み需要増」であったり、「缶で買うよりお得」という切り口になると思うのですが、私たちの場合、もう一歩踏み込んで「そもそもなぜサワーはレモン味が一番売れるのか」ということが知りたいんです。

私たちネットメディアは、数字からその背景を探って、読者が意外と気付いていない「言われてみると確かになんでだろうという」無意識の疑問に焦点を当てたいと考えています。

報道機関のニュースは、横並びでワンパターンのものが多いと思うのですが、私たちは早くニュースを出せないので、「読み物として楽しんでもらうには」という切り口で記事を書いています。

ちなみに、なぜレモン味が一番売れているのかというと、諸説ありますがお酒類にも甘さ控えめと健康志向という波が来ていて、飲んでも太らないというヘルシーなイメージがあるかららしいです。

つまり何が言いたいかというと、「言われてみると確かになんでだろう」というところに気をつけながらリリースを書けば、情報のアンテナに引っかかるということです。売り場に行けばレモン味は当たり前に並んでいると思うんですけど、じゃあなんで企業はレモン味を作るんだろうというところまで考えてみる。そうすれば社会の仕組みもわかりますし、自分たちが無自覚に過ごしているような趣味嗜好に気づくことができる。そういうのってすごく面白いなと思いますね。

多分皆さんがニュースを見る時って、Yahoo!ニュース、SmartNewsという大きなプラットフォームの中で見ることが多いと思うんです。そうすると、その中のニュースは大体テレビとか〇〇新聞が多い。それってアクセス数で並べられていたり、Googleが検索上位にあげていたりするので、私たちみたいな小さなメディアは検索上位に上がらないんです。

なので、テレビの報道機関に送るリリースとネットメディアに送るリリースは切り口を変えた方が良いです。

メールの件名を見ればわかるメディアに取り上げたくなる企業とは

メールの件名はとても重要です。今、実状新しい企業から得られる情報ってプレスリリースかメディチョクさんなどPR会社からの紹介しかありません。なので、多くはメールの件名で判断することが多いんです。

その中でも、私たちが探している情報はシンプルに2つに集約されます。それは「唯一無二の情報」「トレンドを先読みした情報」です。

①唯一無二の情報

例えば、「自社製品の〇〇が100万個の売り上げを突破しました」と言われた時、それが業界・分野によって売れたの相場が違うので、本当に売れたかどうかの判断が難しいです。

一方、「新商品〇〇が市場1位の売り上げを記録」や「新商品〇〇が外出自粛の影響で売り上げが急増」など、客観的な事実や明確なデータなどの、事実背景があると売れていると判断しやすいです。

②トレンドを先読みした情報

トレンドを先読みした情報は結構難しいと思います。例えば、今年(2020年)の春アマビエがトレンド入りして、各社こぞって商品化をしていた時期がありました。今「アマビエをモチーフにした新商品を出します」と言われても、すでに誰でも知っている人気ワードとなっているため、取り上げる動機がないです。今タピオカの話をされても古いなと思いますよね。

一方で、これは私が実際に取材したネタになるんですけど、「新しい生活様式に沿った、オンラインお見合いサービス開始」みたいなものだと気になります。社会情勢を見て、今後人気・定着すると予想される新商品・サービスは目を引きやすいです。

新聞やテレビが大々的に取り上げはじめると、ネットメディアの出番はないんです。これは現場の話になるんですけど、テレビなどが大々的に取り上げ始めるのは、バズ(流行る)ってから2週間くらい経っている場合が多い。なので大きいメディアで取り上げ始められると、ネット界隈ではブームが落ち着いている場合が多いです。そうすると、ネットメディアがそのタイミングで出しても発信力で負けてしまうんです。なので、前倒しで数字に基づいた先読み情報をいただけるといいなと思います。

司会:例えば、すごい特殊な業界の製品がなぜか売り上げが伸びているという場合はどうですか。 

季節波動に関係のない急な売り上げ増加は必ず理由がありますから、もしかしたら企業の知らないところで、有名なブログやTwitterで取り上げられているかもしれないです。なので、企業自身の「売れた」という情報と、世間の反応の両方が大切になると思います。私たちも少ない人数でやっていて、得意な分野ばかりを取り扱ってしまうので、新しい分野を開拓するときに先読みした情報だとネタが広がりやすく取り上げやすいです。特にポストコロナだと今までの常識が覆るので、先読みされたネタが無いかいつも探しています。

掲載するにあたっての注意点

原則として、どのメディアでも記事公開前の中身チェックはできないと思っていただいた方がいいです。なので、事前にファクトチェックをしっかりと行う必要があります。ただし、プレジデントオンラインでは透明性の確保の点から、一度お見せするようにしています。

また、お話しいただいたことを全て載せることはできません。メディアに掲載できる情報には文字数などの制限があります。ユーザーが見られる文字数を基準に考えているので、全て載せることはできないということをご理解いただきたいです。

あと、良いところだけではなく課題点も取り上げます。当事者の広報担当からすると、いいことだけを記載するのが当たり前かもしれないですが、何も知らない読者が見るといいように書いているように見えるんです。しっかり課題に取り組んでいるという意味で、現状の課題点も必ずお伺いするようにしています。

いつも記事を書いていただいているライターの方は、何十年も取材をされているエキスパートの方なので、その方独自の視点を記事に入れないとその方に書いてもらう意味がないと考えています。悪いところを書くというよりは、企業が課題を克服して前に進んでいるという伝え方をしていきたいです。

まとめ

今回は、内藤さんをお招きして、メディアに取り上げられる方法についてお聞きしました。メールの件名やプレスリリースの切り口など、現役の編集者ならではのお話を伺うことができました。このブログを読んでいただいた方は是非、今後の広報活動に活かしていただきたいと思います。

また、弊社では「広報活動について調べているけど、効果に繋がる広報活動が出来るか心配。」「うちはまだ会社立ち上げて間もないし、そんなに予算は割けない。」「メディアリレーションについて理解はしたけど、時間も人も足りてないし、正直大変そう」とお悩みの方も多いと思います。

弊社ではメディア側から直接メディア出演・取材依頼が届き、高確率でメディア出演が可能な「メディチョク」というサービスを提供してます。現在、多くのメディア関係者が利用しており、低コストで広報担当を設けずに広報活動を実現することも可能です。是非「メディチョク」を使って、効率的に自社の魅力をPRしてみませんか?